営業で使える法則を紹介! 心理学のテクニックや習得方法、上手く活用するポイントとは

心理学テクニックは多くのビジネスで活用されており、営業で使える法則も数多く存在します。この記事では、営業の法則を紹介します。具体的な心理学テクニックや習得方法を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

 
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営業の法則を活用する効果

営業の現場では、心理学テクニックにもとづいた「営業の法則」の活用が重要です。営業の法則をトークの中に織り込むことで、顧客の感情や思考の流れを自然に捉えられるようになります。相手のニーズや関心の度合いに沿って、押しつけがましくない納得のいく提案を行えるでしょう。

さらに、営業の法則は、顧客からの信頼を得やすくなる点もメリットです。顧客の心理に寄り添った会話や提案をできるため、相手の不安を取り除けるようになります。顧客と信頼関係を構築できれば、最終的に成約率や顧客単価の向上へとつながります。

営業の法則①信頼関係を構築する心理学テクニック

顧客と信頼関係を構築するために役立つ営業の法則を7つ紹介します。

メラビアンの法則

メラビアンの法則とは、コミュニケーションを取る際に相手へ与える情報の割合を示す概念です。具体的な割合は、以下の通りです。

・言語情報(話の内容):7%
・聴覚情報(声のトーンや話し方):38%
・視覚情報(表情や身だしなみ):55%

つまり、どれだけ良い提案内容であっても、硬い表情や話し方、粗雑な身だしなみでは相手にネガティブな印象を与えてしまうわけです。営業トークの内容と非言語コミュニケーションの印象を一致させることで、顧客の心を開きやすくなります。

ピークエンドの法則

ピークエンドの法則とは、人は「体験全体」よりも「もっとも印象的だった瞬間(ピーク)」と「最後の印象(エンド)」で体験の評価を判断する心理法則です。営業におけるピークは対面時の挨拶、あるいは商談で「ここだけの話」「お客様にだけ」と特別感を演出したシーンが該当します。一方、営業におけるエンドは、別れ際の対応です。別れ際に感謝の言葉を伝えたり、丁寧に見送ったりすると顧客にポジティブな印象を残しやすくなります。

単純接触効果(ザイアンスの法則)

単純接触効果(ザイアンスの法則)とは、繰り返し接触する相手に好感を持ちやすくなる心理現象です。同じ営業担当者が訪問や電話でアプローチすることで、次第に親近感を与えられます。メルマガやSNSによる情報発信も効果的です。注意点として、相手の都合を無視した押し売りや架電は不快感を抱かれてしまうため、逆効果となります。顧客を尊重した質の高いアプローチを重ねれば、信頼関係を深めていけるでしょう。

好意の返報性

好意の返報性とは、好意的な行動をしてもらった際に「自分も相手に良くしたい」と思う心理傾向です。営業では、相手のファッションや仕事への姿勢をさりげなく褒める、感謝の気持ちをこめて手土産を渡す、話にしっかり耳を傾けるといった行動が好意の返報性へとつながります。ただし、わざとらしいお世辞や形式的なプレゼントは、かえって不信感を抱かせかねません。あくまで自然に好意を示すことで、営業トークをポジティブに聞いてもらいやすくなります。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは、「はい / いいえ」の2択で回答できない質問です。たとえば、「この商品は必要ですか?」ではなく、「どんな課題を感じていますか?」と聞く質問が当てはまります。相手が自由に返答できるため、考えや本音を引き出しやすくなります。そのため、顧客のニーズを詳しく把握したい場合に効果的な質問方法です。また、顧客側も話しやすくなることから、「こちらの話をきちんと聞いてくれた」と良い印象を持ってもらえます。

バーナム効果

バーナム効果とは、以下のように誰にでも当てはまる一般的な事柄を自分のことだと考える心理現象です。

・「できるだけコストは抑えたいですよね。でも、品質は妥協したくないのではないでしょうか」
・「業務効率化について課題を感じていませんか」
・「なるべく手間をかけず、スムーズに進めたいですよね」

自分のことを理解してくれたと相手が感じれば、好意的な感情を持ってもらいやすくなります。自然にセールストークに盛り込むことで、理解度の高さをアピールできます。

ハロー効果

ハロー効果とは、一部の特徴的な印象が全体の評価に影響を与える心理現象です。たとえば、明るく話しやすい雰囲気や清潔な身だしなみの担当者は、提案内容にも良い印象を感じてもらいやすくなります。また、ハロー効果はマイナス方向にも働きます。無愛想な態度や身だしなみが小汚い場合、どれほど優れた提案でも「この会社は信用ならない」とマイナスな印象を与えてしまうわけです。ハロー効果によってネガティブな印象をもたれないためにも、清潔感のある服装や丁寧な言葉遣い、誠実な姿勢が大切になります。

営業の法則②商談や提案を有利に進める心理学テクニック

続いて、商談や提案を有利に進める営業の法則を7つ解説します。

両面提示の法則

両面提示の法則とは、メリットだけでなくデメリットもあわせて提示して、信頼性を高める心理効果です。商品やサービスの良い面のみ説明した場合、「何か隠し事をしているのでは」と警戒されるでしょう。そこで、あえて悪い面も正直に伝えることで、誠実な印象を与えられます。たとえば、「このプランは初期費用が少し高いですが、ランニングコストが抑えられます」と伝えれば、顧客の警戒心を解いたうえで自社の商材を検討してもらえます。

ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、当事者から直接伝えられる情報よりも、第三者から伝わる評価や口コミのほうが信じやすい心理傾向です。多くの人は、企業による公式情報に加えて、利害関係のない人による率直な意見をより重視するものです。そのため、営業担当者がどれほど誠実に話しても、「話を誇張しているのでは」と捉える顧客もいるでしょう。そこで、具体的な導入事例や利用者からのアンケートを紹介することで、提案内容の信憑性を高められます。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、多くの人に選ばれている対象を自身も選びたくなる心理現象です。たとえば、流行の商品が欲しくなる気持ちや、行列のあるお店に自分も並ぼうかと考える心理が当てはまります。営業においては、導入実績や顧客満足度、サービス登録者数などの具体的な成果を営業トークに織り交ぜるといいでしょう。「それほど人気があるなら契約しようかな」と、顧客が提案を前向きに受け入れるきっかけを作り出せます。

ブーメラン効果

ブーメラン効果とは、強く説得されると逆に反発してしまう心理傾向です。結果を急ぐあまりに契約を押しつけるような発言をすると、強制感によって顧客に拒絶される可能性があります。ブーメラン効果を引き起こさないためには、顧客の話をしっかりと傾聴したうえで「自ら選んだ」と思えるように導くことが重要です。「このサービスを導入しないと課題を解決できない」と選択を強要するのではなく、「このサービスを導入すると、今抱えている業務負担を大幅に軽減できます」などの表現で顧客の行動を自然と促しましょう。

マジカルナンバー

マジカルナンバーとは、人が短期的に覚えられる数値は「7±2」までが限界だとする心理法則です。また、「マジカルナンバー4」という理論もあり、こちらでは4±1までが限界とされています。現在ではマジカルナンバー4の考えが広まっているため、営業の際に伝えるポイントは多くとも5個までに絞り込みましょう。優先して伝えるべき情報を厳選して、提案内容をシンプルにすることで顧客の記憶に強く印象を残せます。

プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、人は損失を強く受け取る傾向があり、時には不合理な選択も行うとする理論です。たとえば、「保証プランに加入すると修理費がかかりません」と得を伝えるよりも、「保証プランに加入していない場合、故障時に高額な修理費が発生する可能性があります」と損を強調したほうが提案の効果を高められます。

なお、プロスペクト理論と関連する概念に「フレーミング効果」があります。フレーミング効果とは、同じ物事であっても表現の違いによって印象や判断が変わるという現象です。

ミラーリング効果

ミラーリング効果とは、相手の仕草や話し方、表情を自然に真似することで、親近感を与える心理効果です。相手がゆっくりと話していれば自分も落ち着いたトーンで話す、相手が水を飲んだときに自分も口にするなど、動作や話すテンポを真似します。顧客との距離を縮めやすくなることから、現状の課題やニーズといった本音を引き出しやすくなります。注意点として、相手を模倣していると気づかれれば不快感を与えかねないため、自然なタイミングで行うことが大切です。

営業の法則③クロージングを成功させる心理学テクニック

営業において重要なクロージングを成功させるためには、以下6つの営業の法則を活用しましょう。

決定回避の法則

決定回避の法則とは、選択肢が多すぎるとストレスを感じ、決断を避けようとする心理現象です。選べる自由が多いほど良いように思えますが、選択肢が増えると比較や検討の負担が大きくなります。最終的に「どれを選べば正解なのか分からない」と感じて、決断を回避してしまうわけです。対策として、提案するプランはできる限り少なくしましょう。また、ヒアリングで優先順位を確認して、顧客の関心に合わせた提案だけ行う方法もおすすめです。

分析麻痺

決定回避の法則に似ている心理現象が、分析麻痺です。分析麻痺とは、特定の事柄について考えすぎた結果、最終的な決断ができなくなる状態です。決定回避の法則と同じく、分析麻痺も選択肢が多すぎる場合に生じやすくなります。「どの選択肢がもっとも正しいのか」と分析を重ねるうちに思考停止状態となり、判断を先送りにしてしまうわけです。商談の際は、顧客の意思決定に必要な情報のみを提供することで、分析麻痺を避けやすくなります。

希少性の法則

希少性の法則とは、限定商品や期間限定キャンペーンなどの手に入りにくいものへ価値を感じる心理法則です。営業においては数量や期間の希少性を示すことで、決断を迷っている顧客を成約へ導きやすくなります。なお、希少性を高める演出は必ず事実にもとづいて行いましょう。たとえば、通常価格であるのに「期間限定セール」と称すると、景品表示法に違反するおそれがあります。

ドアインザフェイス

ドアインザフェイス(door in the face)とは、最初に大きな要求を出して断らせた後に、小さな提案を受け入れさせる心理テクニックです。後に行う小さな要求が本来の目的であるため、最初の大きな要求は断られる前提で提案する仕組みです。営業では、初めに高額プランを提示して、断られた後に本命のプランを提案する方法がよくあります。相手が譲歩してくれたと感じると自分も何か譲歩しようとする心理が働くことで、後の提案が魅力的に感じやすくなります。

フットインザドア

フットインザドア(foot in the door)とは、最初に小さなお願いを承諾してもらい、段階的に要求のレベルをあげていく手法です。営業では、最終目標である成約へ到達させるため、さまざまな小さな要求を行います。たとえば、「無料トライアルを提供する」「資料請求を受け付ける」「メルマガの登録を促す」などのパターンが一般的です。相手にとって負担にならない要求から始めることで承諾のハードルが下がり、成約につなげやすくなります。

ハードトゥゲット

ハードトゥゲット(hard to get)とは、相手を特別扱いすることで好意的な印象を与える心理テクニックです。多くの人は、誰にでも提供される商品やサービスよりも「自分だけが得られるもの」に魅力を感じやすいと言えます。具体的には、「お客様だけに特別に」「ここだけの話ですが」「他のお客様には内緒にしてください」などの顧客を特別視する言葉を使うことで、購買意欲を高めやすくなります。

営業の法則を習得する方法

心理学テクニックを使った営業の法則を習得する際は、次の3つの方法を実践しましょう。

トークスクリプトに組み込む

トークスクリプトを活用している場合、営業の法則を組み込みましょう。オープンクエスチョンを利用したいのであれば、「日々の業務で特に負担を感じる部分はどこですか?」と具体的な台詞を記載します。また、トークスクリプトには、シチュエーションごとの会話の流れがまとめてあります。会話の内容に応じて、自然な箇所に心理学テクニックを反映した台詞を記載してみてください。

ロープレで練習する

ロープレ(ロールプレイング)とは、「顧客役」「営業役」などの役割を演じてトークスキルを高める練習方法です。上司や同僚に練習相手になってもらい、実際の商談を想定して対話を進めます。ロープレによって営業の法則を繰り返し練習することで、自然な言い回しを身につけられます。営業チームで協力して互いにフィードバックを伝え合えるため、組織的な営業スキルの強化が可能です。

実際に試して試行錯誤を重ねる

営業の法則を習得するためには、実際に顧客へ試す必要があります。顧客の反応を観察して、「この表現は響いた」「この言い回しは不自然になった」と具体的に振り返りましょう。良い反応があった部分は自分の成功パターンとして残し、上手くいかなかった点は微調整します。トーク内容や法則の使い方の試行錯誤を重ねることで、自然に使いこなせるようになるでしょう。

営業の法則は実践後の改善も重要

営業の法則を実践で使った後は、改善してブラッシュアップしていくことが重要です。効果的に改善するためには、商談で使う心理学テクニックをまずは1つだけ試してみましょう。各テクニックを1つずつ着実に習得していけるうえ、顧客の反応を細かく確認できます。使用した心理学テクニックや詳しい会話の流れ、商談への影響などの情報を記録しましょう。成功と失敗どちらのパターンも記録することで、効果的な改善が可能になります。

営業の法則を上手く活用するポイント

営業の法則を上手く活用するポイントは、以下3つです。

複数のテクニックを組み合わせる

商談では、複数の心理学テクニックの組み合わせが必要です。不慣れなうちは1つずつ使用することで分析と改善を行いやすくなりますが、慣れてきたら商談の流れやシチュエーションに応じてテクニックを使い分けましょう。具体的には、提案段階で「両面提示の法則」で信頼を築き、クロージングでは「希少性の法則」で行動を促すといった流れです。多角的なアプローチが可能になるため、テクニックの効果を最大化できます。

同じ顧客に1つの法則を繰り返さない

同じ顧客に対して、1つの営業の法則を何度も繰り返さないようにしましょう。同じ顧客に同一の心理学テクニックを使い続けた場合、相手に気づかれやすくなるリスクが高まります。「毎回同じ手口を使ってくる」と不信感を抱かせれば、信頼関係を損ねてしまうでしょう。営業の法則は、使いどころを見極めて自然な会話の流れで活用するスキルが求められます。

営業スキルの研鑽を怠らない

営業で使える法則だけでなく、コミュニケーション能力やプレゼン力といった基本の営業スキルの研鑚も不可欠です。心理学テクニックはあくまで補助的な技であるため、そもそもの営業スキルが低ければ通用しません。さらに、顧客の業界知識や自社商品の強みを深く理解していれば、提案の説得力が増します。営業スキルや知識を向上させることで、心理学テクニックも上手に使いこなせるようになるでしょう。

営業の法則を利用する際の注意点

営業の法則を利用する際は、次の2つの注意点に気をつけましょう。

相手の反応を確認しながら使う

営業の法則を落とし込んだトークを展開する際は、顧客の表情や返答などの反応を確認しましょう。テクニックを使うことに集中するあまり、相手の反応をきちんと確認せずに会話を進めてしまう場合があるためです。結果的に、顧客が思案中なのにクロージングへ進もうするケースや、顧客の購買意欲や興味関心の度合いを見逃すパターンを招くかもしれません。営業の法則は手段であり、使うことを目的化しないよう注意しましょう。

テクニックに依存しない

心理学テクニックに依存してしまうと、不自然な会話になるおそれがあります。会話の流れで自然に受け答えすべき箇所でも無理にテクニックを使えば、顧客に違和感を与えてしまうでしょう。また、ミラーリングによる模倣を見抜かれたり、いかにも営業トークだと思われたりするケースも考えられます。営業は自然なコミュニケーションが重要であるため、無理に心理学テクニックを使う必要はありません。

営業の法則を意識して成約率を高めよう

営業の法則は、さまざまな心理学テクニックを応用しています。信頼関係の構築に使えるだけでなく、提案やクロージングを有利に進めるためのテクニックもあります。営業トークへ自然に法則を盛り込めば、顧客との商談をスムーズに進められるでしょう。

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この記事の監修者

荒川 翔貴

学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。

 

現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。▶︎詳しく見る

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