営業で使える切り返しトーク集7選!断り文句別で営業話法をベースに解説

営業活動で成果を上げるには、相手からの「忙しい」「今は検討中です」などの断り文句に対して、どう切り返すかがポイントとなります。無理に推し進めると信頼を得られず、その場限りの営業になってしまうことも。
この記事では、営業話法をもとにした切り返しトーク集を紹介します。断り文句に対してどのように対応したらよいのかを解説します。営業職としてスキルアップを目指している方は、ぜひ参考になさってください。
営業で切り返しトークが必要な理由
営業でお客様に断られたときにすぐに引き下がらず、かつ前向きに展開するには「切り返し」が効果的です。信頼関係の構築や本音を引き出すきっかけを作ることができます。営業職として、うまく切り返しができるように切り返しトーク(応酬話法)の重要性について解説します。
断られたあとも提案を継続できる
営業活動において、誰もがその商品やサービスを求めているとは限らないため、断りの文句を受けることも少なくありません。しかし、断られても適切な切り返しをおこなうことで、商談を前進させることができます。
たとえば「今は忙しいので結構です」と言われたときに「そこをなんとか1分だけでも」と食い下がるより、相手の状況を理解したうえで「わかりました。では来週にお時間いただけますか」と後日改めて連絡することを伝えるとアポがとりやすくなります。一度断られても、商談を前に進めるために切り返しトークが必要なのです。
会話から信頼関係を構築できる
営業において、信頼関係の構築は商談成功のカギとなるものですが、言葉ひとつで信頼を失うこともあります。応酬話法では、相手の言葉にすぐ返答せず、共感を示しながら会話を進めることで信頼を築いていきます。
たとえば、相手が「検討中です」と言ったときに「ではまた機会があれば」と返してしまうと、そこでその関係は終わってしまう可能性があります。しかし「検討中の理由をお伺いしてもろしいでしょうか?」と共感の姿勢を見せれば、信頼の土台が作られ、次の商談につながるかもしれません。相手の言葉に対して真摯に耳を傾け、相手のニーズに関連する情報を正確に提供することが大切です。
顧客の本音を引き出せる
営業活動において大切なことは、顧客の本音や隠れたニーズを引き出すことです。「予算がない」という断り文句の裏には「今は他の投資にお金をまわしている」といった理由が隠れていることもあります。こうした本音を引き出すには、その背景にある理由や感情に対して理解を示すことが大切です。
「予算が足りない理由はなんですか?」と聞くのではなく、「予算確保のためにどのような方法をとっているのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?」と掘り下げるような質問をするのが効果的です。顧客の状況や心情に配慮した対応により、本音を引き出し、より適切な提案が可能になります。
よくある断り文句別切り返しトーク集
営業でよく聞かれる5つの断り文句と、その文句に対して有効な切り返しの具体例を紹介します。顧客のニーズや状況を理解し、商談へ進めるための営業話法がベースです。うまく切り返すトークを探している方は、ぜひ参考になさってください。
「時間がない」
忙しさを理由に断られることはよくありますが、この場合、相手がどれだけ時間を取れるかを見極め、短時間で要点を伝える切り返しが効果的です。
「お忙しいところありがとうございます。30分だけお時間いただければ、要点だけお伝えします。」
これらの切り返しトークは、相手の忙しい状況への配慮が感じられます。さらに短い時間で要点を伝えて反応を伺う様子が感じられます。それでも断られた場合、対応が難しいことを察したら、次回のスケジュールを提案します。こうすることで相手に負担をかけることなく、商談を再開するきっかけを作ることが可能です。
「予算がない」
「予算がない」という断り文句を受けたときは、顧客の他のニーズや重視しているポイントを掘り下げてみましょう。予算内で最適な提案ができれば、信頼の獲得につなげることが可能です。
「当社のサービスを導入された会社では、導入後3ヶ月で業務効率が20%向上した事例もあります。初期費用は無料です!」
予算内で解決できる代替案を提案し、相手に対して新しい視点を提供します。興味をもってもらえれば予算確保に動いてくれるかもしれません。さらにコストパフォーマンスの面でメリットを伝えて、長期的な視野で予算を再考してもらう方法もあります。
「検討中」
「検討中です」といわれたときは、相手が積極的に決断を避けている可能性があります。切り返すときは相手の懸念を深掘りして、納得のいく解決策を提案することで、意思決定を後押しします。
「検討中ということですが、何かご不安な点やさらに知りたい情報はありますか?その点に絞ってご説明させていただければと思います。」
相手がなぜ決断をせず、検討しているのか理由を尋ねることで、具体的なニーズを引き出すことが可能です。ニーズがわかったら、さらに深堀りをして提案をします。
「決定権がない」
「決定権がない」と言われた場合、決裁者に直接アプローチするか、関係者に対してより説得力のある情報を提供する必要があります。
「最終的なご判断をされるご責任者様にもご理解いただけるよう、社内提案用の資料もあわせてご提供いたします。」
商談へ導くには、決裁権をもつ人物と接触する必要があります。どういった資料なら、決定権をもつ相手が納得してもらえるのか、顧客を通じて資料づくりに役立つ情報を入手しましょう。
「他社と契約済み」
他社と契約している場合、違いや自社の強みをアピールするのがポイントです。以下のように切り返してみましょう。
「現在のサービスに満足されていますか?私たちのサービスが貴社にとってどれほど価値をもたらすか、実際に体験していただける機会をご提供できます。」
このように他社との差別化ポイントを強調して、再検討を促します。ここで契約中の他社製品を批判するような言動は控えましょう。あくまで現状はどうか?をヒアリングしたうえで、自社ならより事業成長につながる価値を提供できることを伝えましょう。
営業の切り返しトークに共通する3つのプロセス
どのような断り文句が出ても、うまく対応できる営業には一定の思考と会話のパターンがあります。その基本となるのが「共感>質問>提案」という3つのプロセスです。ここではその共通プロセスについてわかりやすく解説します。
1. 共感|顧客の課題に寄り添う
顧客にいくらアプローチをしても「いや今は要らないよ」「予算がないから」と断る背景には、何らかの課題や懸念があります。すぐに提案に走るのではなく、まず顧客の感情や状況に対して共感を示すことが大切です。
たとえば「ご多忙のなか、お時間を割いていただきありがとうございます」といった言葉は、相手の立場に理解を示す基本的な姿勢のひとつです。顧客の立場や業務の状況を踏まえたうえでの対応は、言葉や姿勢にもあらわれます。
とくに断り文句が出た直後に共感を挟むと、警戒心が和み、その後の質問や提案が受け入れられやすくなります。
2. 質問|潜在ニーズを探る
顧客からの断り文句をそのまま受け取るのではなく、背景にある「本当の理由」や「未整理のニーズ」にたどり着くことが、営業スキルの見せ所です。潜在ニーズを探る質問としては以下のようなものがあります。
「そもそもご予算はどのくらいを想定されていたのでしょうか?」
「以前に類似の商品を使用された経験はありますか?」
このような質問は、会話の本質を掘り下げるのに効果的です。顧客に詰め寄るのではなく、寄り添う姿勢をたもちつつ、トーンや話す順序を工夫しましょう。質問をきっかけに、顧客が自身の隠れた課題に気がつき、状況や思考を整理してもらうのです。前向きに考えてもらうことができれば、次の提案へつなげやすくなります。
3. 提案|自然な形で解決策を提案する
顧客の立場と課題を把握できたら、それに対する納得感のある解決策を提示します。ポイントは「相手にとってのメリット」が明確であることです。
「このプランなら、現在のお悩みを短期間で解決できる可能性があります」というように、顧客が抱える課題を自社のサービスでどのように解決できるのかを明示します。ほかには「ご納得いただけた場合は、次のステップとして部長さまへ説明いただくための資料をご用意できます」と、次の商談へつなげるアクションを提示するのも効果的です。
営業話法を使った切り返しトーク集
営業が断られるのは日常茶飯事ですが、そのような場面でどのように切り返すかで商談の成果が変わってきます。相手の意見を尊重しながら切り返すには、営業話法をベースにした構成が効果的です。ここでは切り返しトークに役立つ営業話法の内容を事例をもとに解説します。
Yes But法|相手の意見を受け入れて切り返す
Yes But法は、相手の言葉に一度共感を示したうえで、自社の提案を差し挟むスタイルの話法です。
「おっしゃる通りです。しかし…」という流れによって、顧客の気持ちを尊重しつつも、こちらの主張を自然に届けることができます。
価格などを提案して先に断られたときに、Yes But法でやわらかく軌道修正することができます。ただし、Yes But法をくり返すと「ただ否定されている」と受け取られるリスクもあるため、多い場合は控えるように注意しましょう。
ブーメラン法|理由を逆手に取る
ブーメラン法は、顧客の断り文句をそのまま逆手にとって価値を提示する話法です。たとえば「今は予算がない」と言われたあとに「だからこそ、この機能こそが長期的なコスト削減につながるんです」と切り返すケースです。
顧客の言葉をそのまま提案に転換することで、説得力が増したアプローチとなります。ただし、強引に聞こえることもあるため、どう逆手に取るのか瞬時に見極めるスキルが求められます。
例話法|事例で納得を促す
例話法とは、具体的な導入事例や成功エピソードを話すことで、リアリティと信頼感を高める話法です。
「実際に当社の導入例では、3か月で業務効率が20 %改善しました」というセールストークのなかには、具体的な成果をイメージできる数字とストーリーの両方が含まれており、顧客に納得感を与えるものとなっています。例話法で注意してほしいのは、事例が相手の業界や状況と合致または近しいものであるかというところです。
もし乖離している場合、かえって信頼を損ねてしまうおそれがあります。事前に顧客の会社のホームページをチェックして共通点を探しておくとよいでしょう。
質問法|本音を会話で引き出す
質問法は、顧客の断り文句の裏に潜む本当の課題やニーズを引き出すために効果的な話法です。「状況→問題→示唆→解決期待」と順番に戦略的に質問を重ねて、ニーズを引き出します。
まずは現状を理解する質問から始まり、徐々に顧客自身に課題の深刻さを意識させ、「この解決策で得られるメリット」として自己決定を促すのです。たとえば「現在の導入プロセスはどのような状態ですか?」「その状況が改善されない場合、どのような影響が出ますか?」「もしそれが改善すると、どのようなメリットがありますか?」といった質問をすることで、顧客自身に「そのサービスが必要だ」と感じる状況を自然に引き出すのです。
ただし、この内容の質問が続くと尋問されているように受け取られるおそれがあります。そのため、質問のテンポやタイミングを見極めることが大切です。
否定法|不安を打ち消す切り返し方
相手が抱える不安や誤解に対し、ただ「違います」と否定するのではなく「実際には○○なのでご安心ください」と根拠を添えることで、安心感を与えるのが否定法の切り返しです。
たとえば「費用が高いのが心配」と言われたら、「実際には導入後○ヶ月で費用回収されるケースが多く、ご予算面もクリアできます」と伝えるような対応が有効です。ただし「そんなことはありませんよ」と強く否定してしまうと、相手が「揚げ足を取られた」と感じてしまい、信頼を損なう可能性があります。
心理学的には、こうした攻撃的・断定的な否定は購買心理に逆効果となることがあり、まさに「反発現象(backfire effect)」を引き起こすリスクもあります。
ストーリーテリング|興味と共感を引き出す
ストーリーテリングは、数字や機能で切り込むのではなく、心に響く「物語」で共感を得る話法です。たとえば、以前似た悩みを抱えていた他社の導入事例を短く語るだけで、相手は「自分ごと」として情景をリアルに思い描くようになります。
この話法は製品資料だけで淡々と説明されるより、印象にも残りやすい手法です。顧客の情緒に訴えることが、理屈では届かないときの突破口にもなります。ただし、雰囲気や関心度によっては、ストーリーが冗長に感じられたり、必要以上に踏み込んだ説明になってしまったりすることもあるため、短くテンポよく盛り込むことを意識しましょう。
営業が切り返しトークを強化する方法
日々の営業活動のなかで切り返しトークのスキルを磨くには、練習が欠かせません。ここでは実践で使える練習法と改善策をご紹介します。スキルを磨いて成果につなげましょう。
失敗パターンを分析して改善する
もし成果につながらなくても、その失敗を振り返ることで、次の営業活動への改善策として活用が可能です。「なぜ顧客に響かなかったのか」「どこで会話が途切れてしまったのか」など、やり取りを思い出しながら書き出してみましょう。
なぜ失敗したのか、自身の言動を振り返ることで「ここでこういえばよかったのかもしれない」といったうまい切り返しトークが思いつくかもしれません。営業活動後、ていねいに分析して見極めることで、切り返しトークのスキルを高めることが可能です。
切り返し用スクリプトを作成する
断り文句にすぐ対応できないときは、自分専用の切り返し用のトークスクリプトを作成しておくと便利です。スクリプトはテンプレートではなく、自身の営業スタイルや顧客の反応にあわせて柔軟にカスタマイズできるように作成するのがコツです。
ベースのスクリプトは営業活動のたびに見直すことで、応対品質の向上につなげることができます。営業部門でスクリプトを共有して「このトークはうまくいった」「ここの言いまわしは変えたいかも」など、改善を重ねていくことでチーム全体のトークスキルを高めることができます。
ロールプレイで会話の反応力を鍛える
作成したトークスクリプトを使う自主練習も良いですが、実際の営業シーンでは顧客に応じて反応が異なることも少なくありません。上司や同僚に顧客役になってもらって、ロールプレイで営業シーンを再現して練習することで、実践的な切り返しトークのスキルを磨くことができます。
トーク例や切り返し方法などを動画コンテンツで紹介しているものがあるので、ロールプレイとあわせて自主的にトレーニングをくり返すことも大切です。顧客の言葉に対する瞬発力や柔軟性を養うことができます。
商談につながる切り返しトークの実践ポイント
切り返しトークから次のアクションへつなげるには、言葉選びと行動計画を立てることが大切です。ここでは商談につながる切り返しトークで押さえてほしいポイントについて解説します。
次回提案につなげる言葉を用意しておく
顧客からの言葉に切り返したあとは、次に進むための言葉を事前に用意しておくとスムーズに繋げやすくなります。たとえば以下のような言葉を用意しておくとよいでしょう。
・「次回は資料をご用意しますので、ご都合の良いお時間を教えてください」
・「今回お話ししたサービスを導入した事例を次回ご紹介させてください」
・「次回見積もりと提案書を作成してお渡ししたいです」
このような言葉なら、自然に次へのアクションへとつなげることが可能です。顧客に圧力をかけない言葉を選ぶことを心がけてください。
商談後は電話やメールで信頼関係を構築する
商談後のフォローは成果にも大きく影響します。感謝の気持ちや商談内容の要約などを電話やメールで伝えることがポイントです。
「本日は貴重なお時間をありがとうございました。機能に関するご意見もたいへん参考になりました。次回、お約束した内容に関する資料を送付しますのでお待ちいただけますと幸いです」
このようなフォローをすることで、顧客からの信頼を獲得するだけではなく、商談成功率の向上も期待できます。
自社サービスの具体的なメリットを伝える
商談中は顧客が抱えている課題に、どのように対応できるかを伝えることが大切です。「当社のサービスを導入いただければ、〇〇業務の対応時間を約〇%短縮することが可能です」など、具体的な数値を盛り込むと説得力を強めることができます。
ポイントは、顧客のニーズに合致した内容であることです。どんなに魅力的でもニーズからずれていれば顧客の心には届きません。ニーズに合致することで、より具体的なイメージをもたせることができます。
営業職としてステップアップするならエージェントの活用がおすすめ
営業として切り返しトークのスキルを磨くことは、成果を上げるうえで大切なことです。スキルを磨き、さらなるステップアップを目指すなら、転職エージェントの活用がおすすめです。
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この記事の監修者
荒川 翔貴
学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。
現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。(▶︎詳しく見る)