営業が変わる話し方のコツ8選|売れる営業マンの共通点とトークを改善するための練習法を解説

成果を出す営業マンに共通しているのは「話し方」です。話し方とは伝え方の技術で、成約率や信頼関係の構築につながります。話す順番やスピード、トーンなど少しの工夫で結果が大きく変わるのです。
この記事では、成果を出すための話し方の基本から、商談の流れに添った実践的な話法、よくある断り文句への対応などについて解説します。話し方をマスターして営業職としてスキルアップを目指しましょう。まずは見出しを目次のように確認して、気になる項目からチェックしてみてください。
「話し方」が営業成果を左右する理由
営業の成果は商品やサービスの知識、人柄だけでは決まりません。話し方ひとつで顧客からの反応が大きく変わってきます。これは信頼関係の構築や成約率にも影響を与えるほど大切なことです。まずは営業において、話し方がなぜこれほど重要なのかを解説します。
なぜ売れる営業は話し方がうまいのか
売れる営業マンは、言葉の選び方や伝える順番を意識している点が共通しています。顧客がどこまで理解しているのか、相手の様子を伺いながら表現など伝え方を変えているのです。どのようなことを伝えれば良いイメージをもってもらえるのか、相手の表情や言葉から気持ちをくみ取るスキルに長けています。
そのため、必ず売れるトークスクリプトを持っているわけでなく、顧客の気持ちをくみ取るスキルや、その場の雰囲気にあわせた伝え方がうまいのです。同じ言葉でも受け取り方が変わってきます。そのため、顧客から信頼されやすいことから、成果につながりやすいのです。
営業活動に話し方がどう関わるのか
営業活動は主に「初回訪問→ヒアリング→提案→クロージング」と進みます。この営業プロセスのそれぞれのフェーズで話し方に求められるスキルが異なります。各フェーズで共通しているのは「顧客視点」です。そのためには、場に応じた話し方や意識すべきことを事前に理解しておかなければなりません。以下のポイント一覧をチェックしてみましょう。
フェーズ | 話し方で実践すべき行動 |
初回訪問 | 顧客の反応を見ながら話題を選ぶ
共通点を探して会話を広げる |
ヒアリング | あいづちで安心感を与える
答えやすい質問を投げかける |
提案 | 顧客の課題にあわせて順序を組み立てる
具体例を交えて説明する |
クロージング | 判断を急かさない言いまわを使う
迷いへの共感を言葉にする |
このように各フェーズでは伝え方の工夫が異なり、どのくらい意識して実践するかどうかで成果が変わってくるのです。「どのように伝えるか」を意識することで、顧客との信頼関係の構築にも影響してきます。
伝え方を変えることも話法のひとつ
上でも述べましたが、同じ内容でも伝え方を工夫することで、受け取り方が大きく変わってきます。たとえば「この製品は多機能で便利に使えます」とだけ伝えるよりも、「この〇〇の機能はワンアクションで済むため、これまでの約半分の時間で解決できます」と伝えたほうが顧客にとっての価値が明確です。
成果につなげるうえで意識してほしいのは、顧客にとってのベネフィットを優先させることです。高額な商材でも得られるものが顧客にとって有益な情報であれば、その魅力を強くアピールします。
とくに価格については懸念材料としてよくあげられるものです。「高いから」と断り文句を受けた場合でも「コストはかかりますが、そのぶん他ソフトが不要となるため、長期的に見るとお得です」というように、顧客の本音や懸念点をくみ取ったうえで伝え方を変えることでイメージを大きく変えることが可能です。相手の立場に立ち、伝わりやすく言い換えることで商談を成功させることができます。
「営業っぽくない話し方」が信頼につながる
営業だからといって押し売り感のある話し方は逆効果です。営業っぽくない話し方が警戒心を和らげ、信頼構築につなげることが可能です。具体的には「今だけの特別価格です」や「今ご決断いただければ損はしません」といった圧力をかけるようなトークは、顧客の警戒心を高めてしまいます。こうした話し方は、いかにも営業らしい印象を与えてしまうため、売り込み感が強くなりやすいのです。
顧客に気持ちのゆとりをもたせつつ、自然にサービスや製品の魅力を伝えることで、営業っぽさを抑えることができます。話し方としてはカジュアルな口調を指しているのではありません。TPOや顧客ニーズを踏まえたうえで、信頼を築けるように心がけることが大切です。
営業の話し方の基本的なポイント
営業に慣れていても、「話し方に自信がない」と感じる方は多いはずですが、ここではすぐに実践できる話し方の基本的なポイントを紹介します。どう話せば良いのかお悩みの方は参考になさってください。
結論から伝えるうまい話し方の型
「結論ファースト」とは、会話や提案の最初に結論を述べ、その後に根拠や事例を説明する構成です。顧客との会話の質が向上し、理解度や関心が高まりやすくなるとされています
「〇〇を導入すれば、売上が30 %伸びます」というように、結論から語ったあとに詳細を続けると、相手の興味を引きつけつつ納得感を高められます。営業では要点を短い時間で伝える力が求められるため「聞く側に配慮した話し方」として非常に有効です。
ゆっくり話すだけでも印象が変わる
話す速度によって、顧客が受け取る印象は大きく変わります。同じ内容でも少し話す速度を落とすだけで、顧客満足度が上がるという結果もあるほどです。
聞き手に思慮深さや誠実さを感じさせる効果があり、営業中にも意識的にスピードを落とすことで信頼の構築に寄与します。ただし遅すぎると逆効果になるため、「ややゆっくり」を心掛けるのがポイントです。説得力を強められるように、落ち着いた話し方ができるように意識してみましょう。
共感とあいづちで安心感を与える
営業トークは、一方的な説明ではなく双方向の対話がカギとなります。共感の言葉やあいづちを効果的に使うことで、顧客は「自分の話をしっかり聞いてくれている」と感じ、安心して話すことができるのです。信頼がなければ、本当の悩みや課題などを引き出すことが難しいケースも少なくありません。
トーンや表現も重要な要素ですが、顧客のことを考えた共感やあいづちなどは顧客の心にも響きやすいものです。また、長続きする営業関係は、こうした信頼の積み重ねから生まれます。適時反応するだけでも、商談の質は格段に変わります。
営業で信頼を得るための話し方のコツ8選
営業現場で結果を出すには言葉の中身だけでなく、どのように伝えるかが鍵となります。ここでは信頼構築に直結する話し方の8つのコツについて解説します。
1. 声のトーンと表情で安心感を与える
営業は話す内容よりも「どう話すか」で決まります。なかでも声のトーンや表情は、相手に安心感を与えるための大切な要素です。声が高すぎたり早口だと、緊張感や不安を与えてしまいますが、落ち着いたトーンでゆっくり話すと、相手は自然とリラックスして耳を傾けてくれます。
また、表情も重要です。笑顔や柔らかい目線は、それだけで「この人は信頼できそう」という印象を与えることができます。とくに初対面では、表情のない無機質な対応や、感情が読み取れない話し方をしてしまうと、壁をつくってしまうことがあります。
無理に笑顔を作る必要はありませんが「相手の話に興味をもっている」「あなたの話を聞きますよ」という姿勢を表情で伝えることが大切です。話す声のトーンや癖を確認するために、録音や鏡でチェックしてみましょう。気になるところを意識して話すだけでも、相手への印象は大きく変わります。
2. 相手に合わせて話すスピードを調整する
早口で一方的に話してしまうと、相手は話についていけず「この人と話すのは疲れる」と感じてしまいます。逆に、ゆっくりとていねいに話すだけで、しっかりと聞くことができるため、相手も安心して話を聞いてくれやすくなるのです。
「話すスピード=相手との距離感」と考えてみるとよいでしょう。たとえば、じっくり話すタイプの相手には、同じペースでていねいに対応します。逆にテンポよく話す相手なら、リズムを合わせて軽快に会話を進めるとよいでしょう。
自分のペースを押しつけないことで、信頼関係の構築に大きな影響を与えます。とくに電話営業では、声のトーンと話す速さが伝わりやすく、第一印象を左右するため注意しましょう。
3. 共感で相手の信頼を引き出す
営業において「共感」は、最も強力な信頼構築の手段です。商品やサービスを売る前に、まずは「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている」と思ってもらうことが何よりも大切。相手の言葉に対して「それは大変でしたね」「よく分かります」と素直に共感することで、顧客との距離は一気に縮まります。
共感の言葉は、会話の中で自然に挟むのがポイントです。無理に言おうとすると、わざとらしく聞こえて逆効果になることもあります。大切なのは、「相手がどう感じているか」を考えて、気持ちに寄り添う姿勢を見せること。それだけで相手の反応は変わります。
また、表面的な共感だけでは不十分です。「なぜそう思われたんですか?」「他にも気になっていることはありますか?」といった問いかけを重ねることで、より深い共感と理解へつなげることができます。
信頼される営業マンは、共感力の高い聞き手でもあります。自分が話すだけでなく、相手の言葉に対して「受け止めているよ」というサインを返す。こうしたやり取りの中に、信頼関係が自然と築かれていくのです。
4. 質問で会話を自然に引き出す
営業は話すだけではなく、聞くことも大切な仕事です。ただし、いきなり「何かお困りごとはありますか?」と聞くと相手は構えてしまいます。会話のなかに自然に質問を織り交ぜつつ、相手が話しやすい空気をつくることがポイントです。
たとえば「ふだんはどのように〜されていますか?」「最近なにかご不便はありませんか?」といった日常会話に近い質問から入ることで、相手は身構えることなく話し始めてくれます。この「雑談から本題へ」の自然な流れが、営業トークをスムーズに進めるカギとなるのです。
また、答えやすい質問をするのもポイントです。YesかNoで答えられる質問ばかりだと、会話が途切れやすくなります。ほかにも相手の話を決して遮らずに、うなずきやあいづちを打って聞いている姿勢を示すことも大切です。
質問は会話を始めるきっかけであると同時に、相手との関係性を深めるための入口です。良い営業マンは、話すのではなく、話を“引き出す”ことを意識しています。
5. 深掘り質問でニーズを明確にする
表面的な質問だけでは、本当に顧客が困っていることや求めているものにはなかなかたどり着けません。質問に対して回答をもらったら、その回答をもとに深掘りしていきましょう。
たとえば「今のサービスに不満はありますか?」という質問に対して「少し高いかな」と返された場合、「どのくらいが妥当だと感じますか?」や「高いと感じる理由はなんでしょう」と掘り下げていきます。こうすることで、顧客自身が気がついていない課題と解決策を見出すことが可能です。
うまく深掘りをするには「なぜ?」「たとえば?」という問いを重ねることがポイントです。ただし、尋問にならないように注意しましょう。相手が話している内容に関心をもって聞いていれば、自然に掘り下げていくことができます。こうして出てきたニーズをもとに、提案をすることで営業の精度がぐっと上がります。「この人はちゃんとわかってくれている」と感じてもらえれば、信頼獲得にもつながるでしょう。
6. 要点を端的に伝える話し方を意識する
一度に多くのことを伝えようとすると、話が長くなってしまい、相手に届けたい内容が届きません。営業では、伝えたい内容をできるだけ短く、要点だけに絞って話すことが信頼につながります。
とくにビジネスシーンでは「時間を奪わない話し方」が重視されます。たとえば「今日は〇〇の件でご相談に伺いました。結論から申し上げますと〜」というように、最初に結論を伝えることで、相手も内容を理解しやすくなります。
また、専門用語や横文字が多いと、相手の理解が追いつかなくなり「自分には関係のない話だ」と思われることも。誰にでもわかる言葉で、シンプルに伝えることを意識しましょう。話しすぎないことも営業における高度なスキルのひとつです。事前に話す内容や優先順位を整理しておくだけでも、伝わり方が変わってきます。
7. 慌てず落ち着いて話す姿勢を崩さない
営業の現場では、思いがけない質問や反論を受ける場面も少なくありません。反論を受けても落ち着いて対応する姿勢が、相手から信頼を得やすくなります。あわてたり焦ったりすると、準備不足や自信のなさを感じさせてしまうので注意しましょう。
落ち着いて話すには、沈黙をおそれないことがポイントです。会話の間に少し間があっても、あせって言葉を重ねる必要はありません。むしろ、ひと呼吸おいて話すことで、内容に重みが出て、聞き手の理解も深まります。事前に話す内容をシミュレーションしておくことも大切です。話すときの姿勢や目線、手の動きも意識して、ゆっくりと落ち着いて話すことで「この人は信頼できる」「ちゃんと準備してきた」と思ってもらえるようになります。
8. クロージングは前向きな言葉で締める
営業のゴールは売ることではありません。顧客に決断してもらうことです。そのためには、クロージングの場面で前向きな判断をしてもらえるような言葉選びが大切になります。もし、強引な押し売りトークをしてしまうと、せっかく築いた信頼関係が台無しになってしまうので注意しましょう。
たとえば「今すぐ契約してください」よりも「ご検討いただけると嬉しいです」「ぜひ一度、〇〇をご提案させてください」といった選べる余白が感じられる言いまわしができるとよいでしょう。相手の背中をそっと押すような言葉が理想です。
また、クロージングでは「沈黙」も大事な武器になります。提案後、すぐ話しを続けるのではなく、相手の反応をみて待つ姿勢をもつことが大切です。ここで説明をくわえてしまうと、購入や利用への迷いを与えてしまうことがあります。商談の最後には、営業の人柄がもっとも伝わる瞬間です。自信と配慮をもって、ポジティブに締めくくりましょう。
営業シーン別の話し方と練習方法
営業の現場では、状況ごとに求められる話し方のスキルが異なります。ここでは、営業シーンで実践で使える具体的なコツと、効果的な練習方法を紹介します。
初対面では警戒心を和らげることを意識する
初対面の相手には、いきなり本題に入らず、軽い雑談で場の空気をほぐすことが大切です。「今日お忙しいですか?」「オフィス素敵ですね」といったひとことが、警戒心をやわらげてくれます。あらかじめアイスブレイクのネタを用意しておくと安心です。
電話営業は第一声が印象を左右する
電話は声だけのやりとりになるため、第一声の印象が大切です。声のトーンや話すスピード、語尾の抑揚によって、信頼感や安心感を与えることができます。相手の話し方にあわせてトーンを調整を行うのも、良い印象につながるポイントです。
提案・プレゼンではメリットを先に伝える
相手に興味をもってもらうには、提案の始まりにベネフィットを明確に伝えることが効果的です。そのあとになぜそのようなメリットがあるのか、理由や根拠を説明することで説得力が増します。話の構成を「結論→理由→事例」の順に組むことで伝わりやすくなります。
応酬話法をマスターする
反論や断りに対応するには、あらかじめ切り返しトークを身につけておくのがおすすめです。「共感→理由説明→再提案」という基本的なトークの型を覚えておくことで、感情的にならず、冷静に対応できます。この応酬話法は練習次第で誰でも習得できるスキルです。営業のトークスキルを向上させたい方は、ぜひ身につけておきましょう。
▼応酬話法については、こちらの記事もぜひご参考ください。
営業で使える切り返しトーク集7選!断り文句別で営業話法をベースに解説
スマホ録音で話し方の癖を把握する
実際の現場で自分がどのように話しているのかチェックしてみましょう。客観的に聞いてみると違いに気づかされます。自分の話し方を客観的に知るには、スマホで録音して聞き返すのがおすすめです。早口や語尾の下がり、声のトーンなど、自分では気づきにくい癖に気づくことができます。営業トークの質を上げるための第一歩になります。
録音をもとに話し方の改善点を書き出してみる
録音を聞き直したら、「言いよどんでしまったところ」や「語尾が弱くなっていた場面」など、自分が気になった点をまとめたメモを作成してみましょう。どこをどう直せばいいかが見えてくると、効率的に練習できます。ふだんから、書き出して振り返る習慣をつけておくと、話し方が上達し失敗も少なくなります。
話し方講座やセミナーに参加してみる
話し方は独学でもある程度上達しますが、プロの講師による指導で改善スピードが加速します。自分では気づかない癖や話し方の癖を的確にフィードバックしてもらえるため、効率よくスキルアップが可能です。話し方に自信をもてない営業初心者にもおすすめです。
話し方をマスターして営業マンとしての市場価値を高めよう
営業職として話し方を磨くことは、商材や業界が変わっても通用する大きな武器となります。誰に何をどのように伝えるのかを使い分けられる営業マンは、どのような商材でも成果を出せるものです。こうした人材は転職市場でも高く評価されています。
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この記事の監修者
荒川 翔貴
学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。
現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。(▶︎詳しく見る)