営業におけるリードとは?種類・管理手法・獲得方法・ツールまで徹底解説

営業におけるリードとは、将来的に商品やサービスを購入する可能性を持つ見込みを意味します。しかし、単に連絡先があるだけでは成果にはつながりません。

重要なのは、「どのような種類のリードが存在するのか」「どうやって獲得し、どう管理し、どう育成すべきか」という全体設計です。さらに、マーケティングとの連携やツール活用が営業成果に直結する時代になっています。

この記事では、営業リードの基本から、実務で使える分類、管理手法、育成方法、獲得チャネル、さらにSFA・CRMなどのツール活用まで網羅的に解説します。

 
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営業におけるリードとは

営業活動におけるリードとは、将来的に自社の商品やサービスを購入する可能性を持つ見込み客のことを指します。ここで重要なのは、単なる顧客候補ではなく、何らかの手段で接点情報が取得できている状態であるという点です。

たとえば、問い合わせフォームから連絡があった相手、展示会で名刺交換をした企業、ホワイトペーパーをダウンロードした担当者などが該当します。

つまり、リードは「まだ顧客ではないが、将来的に顧客になる可能性を持つ存在」であり、営業活動の起点とも言える存在です。しかし、メールアドレスや電話番号などの連絡先を持っているだけでは、すぐに成果につながるわけではありません。

どのように獲得し、管理し、関係性を深めていくかによって、リードの価値は大きく変化します。

また、近年では営業単体でリードを管理するのではなく、マーケティング部門と連携しながら、組織的にリードの質を高めていくリードマネジメントの重要性が高まっています。名簿のリストではなく、受注可能性のある情報資産として、戦略的に扱う視点が欠かせません。

営業で使われるリードの種類

営業活動で扱うリードは、すべてが同じ状態・価値を持つわけではありません。リードの性質を理解せずに一律のアプローチをしてしまうと、商談化の確率が下がるだけでなく、顧客との信頼関係を損なうリスクもあります。
ここでは、実務でよく使われる2つの分類軸を紹介します。

温度感・購買意欲での違い

リードの温度感は、購買意欲の高さによって、ホットリード、ウォームリード、コールドリードの3つに分類されます。
ホットリードは、すでにニーズが顕在化しており、すぐにでも商談に進める可能性の高いリードです。資料請求や価格問い合わせなど、具体的な行動を起こしている場合が多く、スピード感のあるアプローチが必要となります。
一方、ウォームリードは情報収集中の段階で、関心はあるものの意思決定には至っていない状態です。こうしたリードには、適切な情報提供や関係性構築を通じたナーチャリングが必要です。
コールドリードは接点はあるものの、ニーズが顕在化していないリードを示します。定期的な接触によって、いずれ温度感が高まる可能性もあるため、長期的な視点での対応が重要です。

プロセスによる違い

営業やマーケティングのプロセスにおいては、リードを4つの種類に分けて管理することが多く、それぞれの特徴や扱い方は大きく異なります。違いを理解しておくことで、部門間の連携がスムーズになり、成果につながりやすくなります。

 

リードの種類 定義・特徴 具体例 他との異なり
MQL(Marketing Qualified Lead) マーケティング活動で一定の行動や属性基準を満たした段階のリード セミナー参加、ホワイトペーパーの複数回DL 営業に渡す前段階で、育成を目的とした扱いが中心
SQL(Sales Qualified Lead) 営業部門が商談化の可能性ありと判断したリード BANT条件(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)の確認済み MQLとは扱い方が異なり、提案やクロージングが前提
SAL(Sales Accepted Lead) マーケティングから営業に渡され、営業部門が正式に受け入れたリード 営業がフォロー対象として承認したケース MQLやSQLとは性質が異なり、両部門の合意を前提に扱う
PQL(Product Qualified Lead) 実際に製品やサービスを体験し、価値を理解しているリード 無料トライアル、デモ版利用 他のリードとは異なり、利用データを根拠に購買意欲を判断可能

 

このように、MQL・SAL・SQL・PQLという4つのリードにはそれぞれ異なりがあり、段階ごとの特徴を正しく把握することが、効率的かつ成果の出やすい営業活動につながります。

営業とマーケティングで使われるリードの違い

営業とマーケティングは、共にリードを扱うものの、その定義や目的、重視する基準には明確な違いがあります。

この違いを理解しないまま活動を進めると、「質が悪いリードを渡された」「せっかく獲得したリードが放置された」など、部門間の摩擦を生む原因となりかねません。以下の表に、両者の視点の違いを整理しました。

 

項目 マーケティング視点のリード 営業視点のリード
定義 自社に興味・関心を持った可能性のある接点情報(潜在見込み客) 受注に向けた具体的なアプローチ対象(商談候補)
目的 見込み客の獲得と育成(ナーチャリング) 商談化とクロージング(案件化・受注)
基準 フォーム入力、セミナー参加、資料DL、広告接触など BANT条件の一部確認、ヒアリング済、課題把握済など
重視すること 数量(リード件数)、行動データ、スコアリング 質(確度)、意思決定構造、課題の顕在性

このように、マーケティングは母集団の拡大と育成にフォーカスし、営業は確度の高いリードに集中するという役割分担が一般的です。両者が連携し、それぞれの視点を尊重し合うことが、リード活用の成果を最大化するポイントとなります。

営業のリード管理の方法

営業活動の質は、いかにリードを適切に管理できるかに大きく左右されます。単に情報を蓄積するのではなく、「どのリードに、いつ、どのような対応を行うか」を見極め、戦略的に動かすことが必要です。

リード管理には、以下の3ステップが基本となります。

リードジェネレーション

営業活動の起点となるのが、リードを獲得するプロセスであるリードジェネレーションです。これは、自社の商品やサービスを将来的に購入してくれる可能性をもつ見込み客との接点情報を、さまざまなチャネルを通じて集める活動を指します。

展示会での名刺交換、Web広告経由のフォーム登録、自社ブログからのホワイトペーパーのダウンロード、既存顧客からの紹介など、手法は多岐にわたります。

重要なのは、単に数を集めるだけでは成果に直結しないという点です。自社のサービスと相性のよいターゲット像を明確に設定し、その人物像に合ったチャネルや訴求方法を選ぶ必要があります。

たとえば、IT系SaaSを提供している場合は、経営層向けのセミナーや専門メディアでの広告が有効かもしれません。逆に、購買決定権を持たない層を集めても、後工程のナーチャリングや商談化に時間とコストがかかる可能性があります。

リードジェネレーションとは、単なる集客ではなく、どのような見込み客を、どこで、どのように連れてくるかという戦略設計そのものです。営業成果を左右する起点として、明確な設計と的確な実行が必要になります。

リードナーチャリング

リードナーチャリングは、獲得したリードと継続的に接点を持ちながら、購買意欲や信頼関係を少しずつ高めていく取り組みです。BtoBや高額サービスのように、リードがすぐに商談へ進むことが少ない領域では、このプロセスが営業成果に直結します。

代表的なナーチャリングの手法としては、定期的なメールマガジンの配信、ウェビナーの開催、業種別のコンテンツ提供、過去の相談内容に基づいたフォローアップなどがあります。

たとえば、経営者層に向けた事例記事を届けたり、セミナー参加者に個別相談の機会を案内したりすることで、リードとの信頼関係を構築しやすくなります。

この段階では、今すぐの商談を期待するのではなく、リードの検討ステージに応じた情報提供を通じて関係性を維持することが目的です。すぐに成果が見えるわけではありませんが、地道にナーチャリングを重ねることで、将来的に確度の高い商談を安定して生み出せる土台が築かれます。

リードクオリフィケーション

リードクオリフィケーションとは、育成したリードの中から、今まさに営業がアプローチすべき対象を見極める選別の工程です。営業リソースには限りがあるため、確度の高いリードに絞って動くことが成果を出すうえで重要です。

この見極めには、スコアリングとヒアリングの両方を活用します。スコアリングでは、たとえばメールの開封回数、Webサイトの閲覧ページ数、特定資料のダウンロードといった行動を数値化し、興味関心の度合いを可視化します。

さらに、初回接触時のヒアリングで導入時期や予算、決裁プロセスといった情報を把握することで、アプローチの優先順位を決めることができます。

クオリフィケーションが甘いまま全リードに一律対応してしまうと、成約可能性の低い相手に時間をかけすぎてしまい、結果として失注や営業疲弊を招くことになります。逆に、クオリフィケーションを丁寧に行えば、営業担当者は成果につながる可能性の高いリードに集中でき、受注率と効率が大きく向上するでしょう。

また、この工程はマーケティングと営業の接続点でもあるため、部門間での連携や判断基準の共有が欠かせません。

リード獲得の方法

効果的な営業活動の出発点は、質の高いリードの獲得です。その手法は大きくアウトバウンド型とインバウンド型に分かれます。それぞれの特徴を理解し、自社の状況や商材に合ったチャネルを選ぶことが重要です。

アウトバウンド型

アウトバウンド型とは、企業側から積極的に見込み客へアプローチして、接点を創出する営業手法です。代表的な施策としては、電話を使ったアポイント獲得、営業メールの送信、展示会やセミナーでの声がけ、飛び込み営業や既存顧客からの紹介依頼などが挙げられます。

また、リスティング広告やバナー広告といったオンライン広告によって、能動的にリード獲得を狙うアプローチもこの枠組みに含まれます。

アウトバウンド手法の強みは、狙った相手に迅速に接触できるスピード感と設計次第では大規模なリーチを実現できる拡張性です。たとえば、新製品のリリースにあわせてターゲット業種のリストにテレアポをかければ、短期間で大量の新規接点を獲得することも可能です。

一方で、相手にとって突然のアプローチとなるため、温度感が低いリードが多く含まれる点は注意が必要です。興味関心がない段階での接触では、不快感を与えるリスクもあります。

そのため、ターゲティングの精度、営業トークのストーリー設計が成果を大きく左右します。誰に、どのタイミングで、どのような課題意識に刺さる提案を行うか。ここを丁寧に設計しなければ、単なる数撃ち型の非効率な営業になってしまいます。

アウトバウンド型は、攻めのセールススタイルとして即効性がある一方で、戦略的な実行と現場の習熟度が問われる手法と言えるでしょう。

インバウンド型

インバウンド型は、顧客が自ら情報を探し、納得して企業にアプローチしてくるような仕組みを設計する手法です。能動的に売り込むのではなく、見込み客の課題や関心に寄り添い、信頼関係を築いた上で自然な流れで接点を生むのが特徴です。

代表的な施策には、検索エンジンでの流入を促すSEO対策付きのオウンドメディア、メルマガ登録やホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーやセミナーへの参加促進などがあります。

最近では、SNSやYouTubeなどのプラットフォームでの情報発信からリードが発生するケースも増えています。

この手法のメリットは、リード側に一定の課題意識や関心がある状態で接触が発生するため、商談化率や受注率が高まりやすい点にあります。

たとえば、自社サービスに関連する課題を検索したユーザーが、比較記事や事例紹介を読み、納得した上で問い合わせをしてくる。このように、営業担当者が提案をしやすい状態でリードが流入してくるのがインバウンド型の強みです。

ただし、即効性がない点には気を付けなければいけません。コンテンツの蓄積、SEO順位の上昇、読者の信頼獲得には数カ月から半年以上の運用が必要になります。短期的な成果を求めると、効果が見えずに継続できなくなるリスクもあるため、中長期的な投資と戦略が不可欠です。

インバウンド型は、継続と信頼構築によって高品質なリードを獲得するスタイルであり、営業プロセスを効率化しやすい反面、忍耐力とコンテンツの質が試されるアプローチでもあります。

リードナーチャリングの目的と手法

BtoB商材や不動産、金融業界など、価格が高く検討期間も長くなるような商材では、リードを獲得した段階で即座に商談化することは稀です。

たとえ資料請求や問い合わせがあっても、まだ社内稟議の前段階であったり、競合との比較検討フェーズであるケースは多いでしょう。こうした状況下で重要になるのが、見込み客の関心を維持し、少しずつ購買意欲を高めていくリードナーチャリングです。

ナーチャリングの最大の目的は、短期的な売り込みではなく、中長期的な関係性の構築を通じて、顧客の頭の中に自社を定着させることにあります。営業が接触できるタイミングは限られているからこそ、その間を埋める形で、検討フェーズに合わせた情報や知識の提供を行い、徐々に信頼と理解を積み上げていきます。

このとき、一方的に商品スペックやキャンペーン情報を押し付けても、効果は期待できません。

たとえば、検討初期のリードには業界課題を整理したホワイトペーパーや入門ブログ記事が有効です。比較検討段階にあるリードには、他社事例や導入効果の明示された資料、社内稟議を通すための支援コンテンツなどがよいでしょう。

具体的な施策としては、定期的なメールマガジンによる有益な情報提供、セミナーやウェビナーでのリアルな事例共有、機能を試してもらう無料デモ、LINE公式アカウントによる情報提供などが挙げられます。

とくに最近は、LINEやチャットツールを通じて柔らかくコミュニケーションを取りつつ、顧客の関心フェーズを見極めるアプローチも注目されています。

ナーチャリングを効果的に進めるためには、マーケティングオートメーションツールを活用し、各リードの行動履歴に応じたパーソナライズ配信の実施がおすすめです。

メール開封、リンククリック、資料DLなどの反応をもとに、関心度や購買ステージを把握し、最適なタイミングで最適な情報を届ける仕組みを構築することで、商談化率は大きく向上します。

リードは放置すれば冷めていきますが、関係性を保ちながら継続的に関与すれば、やがて信頼とともに熱量が高まり、確度の高い商談へと育っていきます。だからこそ、ナーチャリングは営業成果の源泉とも言える重要なプロセスです。

営業のリード管理を効率化するツール

リード管理の効率化には、属人的な対応ではなく、組織全体で情報を共有・活用する仕組みが必要です。その中核を担うのが、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)、MA(マーケティングオートメーション)といった専用ツールです。

特に営業現場で活用されているのがSFAで、営業担当者ごとの対応履歴、商談状況、次のアクションなどを可視化できます。CRMでは顧客情報を一元管理し、関係性を長期的に構築するのに役立ちます。MAはナーチャリングやスコアリングに強みを持ち、営業とマーケティングの連携強化に貢献します。

ただし、こうしたツールを導入するだけでは不十分です。

重要なのは、入力がシンプルで、営業担当者が使いたくなる仕組みになっていること。たとえば、情報を入力すれば次に何をすべきかが明確になる、成果につながる示唆が得られる、チームでの引き継ぎがスムーズになるといったメリットを実感できなければ、ツールは形骸化してしまいます。

営業活動の質はリード管理で決まる

リードは、単なる名簿ではなく、未来の売上を生み出す種です。しかし、その価値は適切に獲得・分類・育成・活用されなければ、発芽することはありません。営業活動の質を高め、成果を最大化するには、リード管理こそがポイントとなります。

マーケティングとの連携、ツールの活用、チームでの情報共有。それらを通じて「いつ・誰に・何をすべきか」の判断精度を高めることで、営業組織全体のパフォーマンスは確実に向上します。

個人任せの属人営業から、再現性のある営業体制への転換へ取り組んでいただければ幸いです。

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この記事の監修者

荒川 翔貴

学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。

 

現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。▶︎詳しく見る

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