営業日報の書き方を例文つきで解説! 項目や目的、メリット・デメリット、効果的な運用方法とは
多くの企業は、日々の活動を記録するツールとして「営業日報」を取り入れています。中には、「営業日報を上手く活用できない」「書く必要性がわからない」とお悩みの人もいるのではないでしょうか。この記事では、営業日報の書き方や目的、効果的な運用方法を詳しく解説します。
営業日報とは
営業日報とは、営業日ごとの活動内容や成果を報告するための文書です。営業担当者が各自作成して、その日の訪問件数、商談内容、顧客の反応、課題、次に取るべき行動といった情報をまとめます。営業部で日報を共有することでスムーズに進捗を管理できるうえ、メンバーごとに上司がサポートすべきポイントも明確になります。また、成果につながった営業手法と失敗事例のどちらも日報に蓄積できるため、営業チーム全体でのスキル向上が可能です。
営業日報を書く目的

営業日報を書く目的は、立場によって異なります。部下、上司、会社の3つの視点から、それぞれの営業日報を書く目的を確認しましょう。
部下にとっての目的
部下および一般社員は、営業日報によって活動状況の振り返りと分析を行えます。次に起こすべきアクションを整理することで、翌営業日の活動方針を明確にできるでしょう。さらに、日報には営業日ごとの活動内容や得られた成果、失敗点などの情報を事実ベースで記します。自身の現状を客観的に把握できるため、的確な分析が可能です。たとえば、受注につながった商談の成功要因を記録すれば、成功パターンとして蓄積できます。反対に、失敗要因の分析にも役立つため、具体的な改善策の模索に役立ちます。
<3>上司にとっての目的
マネージャーや管理職も営業日報を書くものの、上司としての役割も求められます。各メンバーから提出された営業日報によって、チーム全体の進捗確認が可能です。商談状況や受注の見込み、苦戦している部分などの状況を把握できるため、適切なフィードバックを行えます。また、本人が気づいていない「努力しても成果が出ない理由」や「商談の失敗パターン」を見極めることで、問題の早期解決にもつながるでしょう。伸ばすべきスキルと改善すべき部分がわかることから、部下ごとの特性に応じたトレーニングを実施できます。
会社にとっての目的
会社にとって、営業日報とは営業の現場を把握するための資料です。経営層はすべての営業活動を直接見れるわけではないため、日報を通じて市場動向を把握できます。顧客のニーズ、新規製品、競合の動きといった市場の変化をリアルタイムに掴めることから、事業戦略の構築に活用できるでしょう。加えて、成功した提案の流れや顧客との関係構築のコツなど、具体的なノウハウが日報に残ります。したがって、営業日報の作成は社内ナレッジの蓄積にもなります。営業チーム全体でノウハウを共有できるため、組織的な営業力の強化が可能です。
営業日報の主な項目

営業日報は、各メンバーがばらばらに書き綴ればいいわけではありません。多くの場合、事前にフォーマットを用意して書くべき内容を整理しています。営業日報の主な項目と記載する内容を見ていきましょう。
1日の営業目標
最初に記載すべき項目が、「1日の営業目標」です。その日に達成したい数値や行動を示すことで、1日の活動内容を明確にできます。そのため、「既存顧客を訪問する」といった曖昧な文章ではなく、「A社を訪問し製品Xの運用状況をヒアリング。業務上の課題を確認したうえで上位プラン『〇〇版』へのアップセルを提案」と具体的な内容を書きます。また、1日の営業目標は、年間または月間目標を達成するためのKPI(重要業績評価指標)として設定しましょう。将来的な目標達成に向けた、現実的かつ計画的な行動をとれます。
1日の活動内容
「1日の活動内容」の項目では、その日実際に行った活動内容を詳しく記載します。1日の活動を時系列順で整理して、スケジュールに沿って書きましょう。訪問先や架電相手、商談内容、受注確度、顧客から受けた質問や懸念点など、詳細を記入します。時系列順で書くことで1日の流れが明確になり、自分の行動を客観的に振り返れます。さらに、時間の使い方に無駄がなかったかも確認できるため、業務効率を見直すきっかけにもなるでしょう。
営業活動の成果
その日の営業によってどういった実績を得られたのか、「営業活動の成果」の項目に書き込みます。受注件数や商談獲得数、架電数、既存顧客への訪問数、リード獲得数など、数字で表せる「定量的」な成果に加えて、数値化できない「定性的」な数値も記載しましょう。たとえば、面談によって把握できた顧客のニーズや課題、相手の前向きな反応といった情報は定性的な成果と言えます。営業成果を細かく共有することで、商談の進捗を可視化できます。
営業活動の課題や所感
「営業活動の課題や所感」の項目では、営業の現場での気づきや反省点をまとめます。その日の営業の中で、顧客への提案やコミュニケーションでうまくいかなかったポイントを振り返りましょう。課題を明確にすると、次回以降に試してみたいアクションや改善策の方向性を定められます。また、課題だけでなく、成功につながった要因や顧客の反応から推測できることなど、個人的な所感も書くと良いでしょう。肌感覚で得た推察や意見もきちんと書くことで、後から日報を見返した際に営業活動のヒントになる可能性があります。
次回以降の行動
最後に、「次回以降の行動」もしっかりと記入します。1日の営業活動によって得た成果や情報を踏まえて、明日以降に取り組む行動を明確にしましょう。たとえば、以下のように具体的なアクションを記載します。
・B社への追加提案資料を作成。競合Y社との差別化ポイントを強調する
・C社の懸念点を調査。類似する課題を解決できた導入事例を提案内容へ盛り込む
・資料ダウンロード経由の新規リードを精査。優先順位を決定する
次回以降にやるべき行動をはっきりとさせることで、翌日の営業もスムーズに業務を始められます。さらに、顧客対応の抜け漏れ防止にもなるしょう。
営業日報の書き方【例文あり】

営業日報の書き方について、例文をもとに紹介します。
1日の営業目標
1日の営業目標は、具体的な数値と行動を記入しましょう。
| 本日の営業目標 | ・A社を訪問。1年間継続導入していただいている製品Xの運用状況を確認。課題をヒアリングして、上位プラン『〇〇版』へのアップセルを提案
・展示会で獲得したリードへのフォローコール10件 ・B社への提案資料の作成に着手。本日中に1/3程度完成させる |
1日の活動内容
1日の活動内容はスケジュールを振り返り、時系列順に書き込みます。目次のように時系列を作成することで、いつどこで何をしていたのかが一目でわかります。
| 09:00〜09:30 | ・始業時の準備
・メール対応 ・A社への訪問準備 |
| 09:30〜10:00 | A社へ移動 |
| 10:00〜12:00 | ・A社訪問。製品Xの運用状況を確認し、担当者様から現状の課題についてヒアリングを実施
・課題→メール・SNSなどチャネルごとに施策が分断されている ・上位プラン『〇〇版』について簡単にご提案。マルチチャネルで一括配信・効果測定が可能な点を強調 |
| 12:00〜13:30 | 休憩後、帰社 |
| 13:30〜16:00 | ・展示会リードへフォローコール10件実施
・1件(D社)がオンライン商談に確定。◯月◯日◯時より実施予定 ・2件(E社、F社)が商談化の可能性あり |
| 16:00〜17:00 | ・B社への提案資料を作成
・日報作成 |
営業活動の成果
営業活動の成果については、定量的・定性的な実績をどちらも記載します。
| 本日の営業活動による成果 | ・A社との商談で、上位プランである〇〇版への関心を得られた。次回の提案へつながる見込み
・展示会リードのうち、1件(D社)とオンライン商談の機会を獲得。また、2件(E社、F社)についてもフォローコールを続けることで、商談化の可能性が見込める ・B社への提案資料を作成。進捗20%ほど |
営業活動の課題や所感
営業活動の課題や所感の記入欄には、1日の活動を通して得られた気づきや反省点を書きましょう。
| 課題・所感 | ・A社には機能説明にやや時間がかかったものの、〇〇版への関心を得られた。今後、機能説明のトークスクリプトを再構築する必要性あり
・B社への提案資料の作成にあまり時間を割けなかった。業務時間の使い方に無駄があると感じる |
次回以降の行動
次回以降の行動として、翌営業日にやるべきアクションを明確にしましょう。
| 次回以降の行動 | ・引き続き、B社への提案資料を作成
・展示会リードD社への提案資料を作成 ・新規リード50件のリストを精査。優先順位を決定する ・〇〇版のトークスクリプトの見直しと再構築 |
営業日報を書く際のポイント

営業日報を書く際は、以下6つのポイントを意識してみてください。
具体的かつ読みやすい内容にする
営業日報は上司が確認するための報告書であるため、わかりやすさが重要です。曖昧な表現は避け、「誰がいつ何をどうしたのか」がわかるように具体的な内容を記載しましょう。「顧客訪問した」「電話をかけた」と大雑把に書くのではなく、「A社に訪問し、システム〇〇の運用状況を確認。社員の定着状況についての課題を把握し、次回アポイントを設定」と詳細を書きます。また、営業日報は他者への報告資料であることから、読みやすい文章も大切です。冗長な表現は避けて、必要な情報のみ伝えましょう。
定量的な数値を盛り込む
営業日報には、定量的に表せる部分があれば数値を盛り込みましょう。なんとなくで記入せず、訪問件数や架電数、売上高、名刺獲得数、セミナー参加者数などの数字を明確に示します。具体的な数値を入れることで、営業活動の質と量をきちんと伝えられます。上司からのフィードバックも実績に応じた内容になるため、実りあるアドバイスを受けられるでしょう。なお、定量的な数字に終始せず、定性的な内容も必要です。顧客の温度感やヒアリング内容のように数値化できない活動や成果もあるため、定量的な数字にこだわりすぎないようにしましょう。
競合や市場の動向にも触れる
営業日報はメンバーの活動状況だけでなく、競合他社や市場の動向を把握するための情報源としても活用されます。競合他社の新製品リリース情報、顧客のニーズや課題の変化、市場のトレンドなどのデータを含めることで、営業チーム全体で最新の情報を共有できます。また、顧客が比較検討している競合製品があれば、詳細を書き込みましょう。顧客が比較している部分や競合の強み、自社の優位性を明らかにすることで、提案でアピールすべきポイントを明確にできます。
事実だけでなく所感も記入する
営業日報を作成する際は、客観的な事実に加えて営業担当者が感じた印象や気づいたポイントも記入しましょう。プレゼンに対する顧客の反応やニーズの強さ、商談の雰囲気は営業担当者が感じとるものであって、客観的事実だけでは伝わりません。「操作性に不安を感じているようで、次回はデモを重点的に行う必要あり」といった所感を添えることで、今後取るべき行動へつなげられます。さらに、営業担当者が感じた課題も記載すれば、上司から適切なフィードバックを受けられます。
前向きな内容を意識する
営業日報には課題や反省点も記入しますが、ネガティブすぎる内容にならないように注意しましょう。日報は上司が読むうえ、チーム内で共有される場合もあります。単なる愚痴にならないよう、課題や反省点を挙げる際は次にどのようなアクションを起こすべきかもセットで書きましょう。目標達成のために前向きな内容を意識すれば、営業日報としての価値を高められます。また、建設的な姿勢を示すことで、チーム内で質の高いアドバイスや解決策をもらいやすくなります。
PDCAサイクルを回せるようにする
営業日報は報告書だけでなく、営業活動のPDCAサイクルを回すためのツールにもなります。営業日報には、以下のようにPDCAを落とし込めます。
1.Plan(計画):1日の営業目標を設定する
2.Do(実行):営業活動を進める
3.Check(評価):営業成果や進捗を確認する
4.Action(改善):次に起こすべき行動を決定する
上記のように日報を使ってPDCAサイクルを回すことで、営業活動を繰り返し改善して質を高められます。
営業日報を記録するツール

従来、営業日報の作成は紙媒体が一般的でしたが、現在はクラウドサービスや専用の日報アプリが広く活用されています。ここでは、主な記録ツールの特徴を紹介します。
ノート等の紙媒体
ノート等の紙媒体は、営業日報として利用しやすいツールです。インターネットやIT端末がなくともすぐに書き込めるため、比較的スムーズに記入できます。さらに、必要な際は保管場所から簡単に手に取れることから、閲覧しやすい点も紙媒体のメリットです。一方で、紙媒体は当然ながら検索機能がなく、過去の記録を探す際には時間がかかります。加えて、他のツールと異なり物理的な保管場所が必要です。数年分の記録を残したい場合には一定の管理コストが生じるでしょう。
ExcelやGoogleスプレッドシート
ExcelやGoogle スプレッドシートは、自由度の高さが強みのツールです。あらかじめテンプレートを作成しておけば、誰でも同じ形式で営業日報を入力できます。さらに、訪問件数や商談数といった特定の数値を集計したい場合、関数やフィルタを設定することで自動集計が可能です。また、営業日報用のテンプレート程度であれば、基本的には追加費用なしで利用できるでしょう。ただし、扱うデータが多いほど検索性が低下し、ファイル管理が煩雑になる可能性があります。
メール・ビジネスチャット
営業日報の媒体として、メールやビジネスチャットを活用するケースもあります。本文への直接入力、もしくはファイルの添付によって営業日報を作成します。日々の業務で必ず開くツールであるため、新たにアプリを導入せずに運用できる点が強みです。マルチデバイスに対応しており、端末の縛りなく柔軟に使えます。注意点として、メールやビジネスチャットは多くのユーザーからのメッセージを受け取ります。そのため、営業日報の提出状況を把握しづらく、チェック漏れが起きやすい点に留意しましょう。
日報アプリ
専用の日報アプリでは、営業日報の作成に必要な機能を利用できます。多くの場合、さまざまなテンプレートが用意されており、入力項目のカスタマイズも可能です。PCだけでなく、スマートフォンやタブレットからもアクセスできるため、外出先や移動中でも営業日報に書き込めます。その他、チェックボックス形式やプルダウン形式による入力、画像添付、データの自動集計など、業務効率化に役立つ機能が数多く搭載されています。なお、無料で使える日報アプリもありますが、機能性の高いツールは基本的に有料です。有料アプリを導入する場合、コストパフォーマンスの検証が欠かせません。
SFAやCRM
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)は、営業や顧客情報の管理を行うツールです。商談の進捗や営業活動、案件情報、顧客への対応履歴を管理できるほか、ツールによっては日報機能が搭載されているサービスも存在します。営業日報のために個別ツールを導入する必要がなく、1つのシステムで統合管理が可能です。さらに、多くの製品はクラウドサービスとして提供されています。物理機器の導入が不要なため、現在使用しているデバイスでスムーズに使い始められます。営業力の強化に有効なツールですが、導入・運用コストがかかる点に注意が必要です。
営業日報を書くメリット

営業日報は活動状況の振り返りや進捗管理を目的としていますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、営業日報を書く4つのメリットを解説します。
営業チーム全体のスキルを向上できる
営業日報の作成は、営業チーム全体のスキルアップへつながります。日報には成功した営業トークや顧客対応、提案内容といった日々の情報が集約されます。日報を通して各メンバーの情報を得られるため、他のメンバーの成果やテクニックの学習が可能です。また、失敗事例も記載することから、他のメンバーが同じようなミスを繰り返す事態を避けられるでしょう。営業の現場で得られる貴重な知見をメンバーで共有することで、全体的なスキル向上が可能になります。
営業のデータベースになる
営業日報を継続的に蓄積していけば、営業に役立つデータベースとして活用できます。たとえば、過去の類似案件を振り返ることで、失敗した提案や成功事例を参考にした対応をとれます。新人にとっては営業日報がノウハウを学べる教材となるうえ、ベテラン社員も自身の知見の再確認が可能です。さらに、顧客の担当者が変更になっても、営業日報を閲覧すればこれまでのやり取りを確認できます。スムーズに情報を引き継げるため、業務の属人化防止にも効果的です。
営業活動の分析や改善を行いやすい
営業日報は、営業活動の分析や改善への活用が可能です。営業日報には担当者の具体的な行動に加えて、訪問件数や商談獲得数などの定量的な成果も書き込みます。加えて、成果につながった要因や上手くいかなかった理由、相手の反応といった定性的な情報も含まれます。営業活動の行動と結果が紐づいたデータとなるため、上司は各メンバーの特性や状況を正確に分析できるでしょう。改善に向けた方向性がわかることから、適切なアドバイスやトレーニングを行えます。
自分の強みや課題がわかる
営業日報を書くことで、担当者は自身の強みや課題を明確に把握できます。自分で1日の活動を書き込むため、時系列に沿って具体的な行動と結果を振り返れます。日々の振り返りを重ねていくうちに、自分の行動パターンが自然と見えてくるでしょう。たとえば、「アポイント取得は得意だが商談でつまずくケースが多い」「ヒアリングはできるがアップセル・クロスセルの提案に踏み込めない」といったパターンです。マネージャーや先輩に具体的な質問・相談ができるようになることから、より実践的なアドバイスをもらえるでしょう。
営業日報を書くデメリット

営業日報には多くのメリットがありますが、運用するなかで問題が生まれる可能性もあります。営業日報によって生じやすいデメリットについて、3つに分けて説明します。
業務が増える
営業日報を書くデメリットの1つが、業務の増加です。営業目標の記入は1日の始まりに書きますが、他の部分は終業時に記載する方法が一般的です。日報を作成する際はその日の活動内容を整理して書き込む必要があるため、一定の時間を要します。それゆえ、業務が逼迫している状況であれば、残業が増える要因となるかもしれません。中でも、外回りが多い担当者はオフィスに戻ってから日報を書く作業は大きな負担となります。日報作成の負担を減らすためには、外出先でも使える日報アプリやSFAなどのツール導入が望ましいでしょう。
不要な情報で溢れる場合がある
営業活動は情報共有や振り返りのために運用しますが、書き手によっては不要な情報が増えてしまう場合があります。営業活動の分析に関係ない情報が多くなれば、上司による適切なフィードバックは困難になります。また、そもそも必要な情報が書かれていないパターンもあるでしょう。営業日報のフォーマットを作っていない場合、メンバーが自由に記入してしまいます。品質にばらつきが生まれる原因となるため、まずは営業日報のテンプレートやルールを作成しましょう。
セキュリティ対策が必要になる
営業日報はセキュリティ対策が欠かせません。日報には顧客情報や提案内容、商談内容、製品・サービスの見積もり、営業ノウハウといった重要なデータが含まれるからです。情報が流出すれば、事業の情報が漏れるばかりか、顧客からの信頼も失われてしまいます。情報漏洩による損害賠償責任が発生するおそれもあるため、堅牢なセキュリティ対策が求められます。厳格な権限設定や他要素認証の導入、デバイスの紛失対策を徹底して、自社の重要なデータを守りましょう。
営業日報を適切に活用できない原因

営業日報は営業活動の改善や情報共有に役立ちますが、上手く活用できていないケースも存在します。「書くだけで終わる」「意味がない」と感じる場合、以下5つの営業日報を適切に活用できない原因に当てはまるかもしれません。
営業日報の作成に手間がかかる
営業日報の効果が薄れる要因として、作成に手間がかかりすぎているケースが挙げられます。営業担当者は、顧客訪問や架電、資料作成、見積もり作業、受発注、納品といった多くのタスクを抱えています。日報作成に多くのリソースを割かざるを得ない場合、時間短縮のため雑な内容になってしまうわけです。SFAやCRM、日報アプリを活用することで、効率的に日報を作成できます。スマートフォンやタブレットから必要な項目をすばやく入力できるため、日報作成の負担を大きく削減できるでしょう。
目的が定まっていない
営業日報を書く目的が定まっていない場合、単なる業務報告になってしまいます。営業日報は本来、営業活動の振り返りや課題の抽出、スキル向上、情報共有、進捗管理などの目的のために運用されます。しかし、目的が曖昧なままでは、営業担当者はどのような情報を盛り込めばいいのかがわかりません。結果的に、書くべき情報が足りなかったり、逆に不要な報告が増えたりするでしょう。いくら書いても現場の役に立たないツールとなれば、営業日報は形骸化していきます。まずは営業日報の目的を定義して、チーム全体に周知しましょう。
フィードバックが少ない
上司から部下へのフィードバックが少ないと、日報を書く意欲が削がれます。営業担当者が丁寧に日報を書いていても、上司からのフィードバックがなければ改善策やアドバイスを得られません。「どうせ読まれていない」「改善策を提案しても反応がない」と感じれば、営業担当者は当たり障りのない内容しか書かなくなります。営業日報を活用するためには、上司がきちんと内容に目を通して良かった点や改善点をコメントしましょう。上司がきちんと反応を返すことで、営業日報を書くモチベーションを高められます。
営業チーム内で共有されていない
営業日報は情報共有ツールとして活用できますが、営業チーム内で共有されていないケースが珍しくありません。上司と各メンバー間のみで情報が完結している場合、日報に記録されたデータが埋もれたままとなります。営業日報にナレッジが蓄積していっても、チーム内で共有されなければ意味がありません。他のメンバーの営業手法やノウハウ、失敗事例といった情報をチーム全体で共有しなければ、スキルの属人化が進行するでしょう。営業日報を活用するためには、アプリやツールで簡単に情報共有できる仕組みが求められます。
データ活用の仕組みが構築されていない
営業日報を運用し続けることで、営業のデータベースとして活用できます。しかし、そもそもデータを活用するための仕組みが構築されていなければ、記録が増えるだけとなるでしょう。蓄積した情報を活かすためには、データ分析を行えるシステムが必要です。SFAやCRMによって営業日報や商談情報、顧客情報を一元管理すれば、データの蓄積と分析を1つのシステムに集約できます。営業日報は情報を活用してこそ効果を発揮できるため、データを分析するための環境を整えましょう。
営業日報を効果的に運用する方法

営業日報は漫然と運用するのではなく、効果を最大限に引き出す必要があります。営業日報を効果的に運用するためには、次の5つの方法を実施しましょう。
外出先で情報を更新できるツールを使用する
営業日報の記録媒体は、外出先でもリアルタイムに情報を更新できるツールが望ましいです。営業担当者は外出が多く、帰社する時間帯もばらばらです。オフィスに戻らないと書き込めないツールの場合、日報作成の負担は大きくなります。スマートフォンやタブレットからでもアクセス可能なツールであれば、どこにいても作業できます。移動中のスキマ時間を活かして日報を下書きできるため、作業効率の改善が可能です。さらに、チーム内の情報共有もしやすく、フォローや連携も迅速に行えます。
長期的な目標を意識して書く
営業日報を書く際は、営業部門や事業としての長期的な目標と関連づけましょう。たとえば、年間目標を達成するために必要な施策を意識することで、その日の活動が目標達成にどの程度貢献したかを考えられます。長期的なゴールから逆算して日々の行動を組み立てれば、「新規開拓が必要な時期であるため訪問件数を増やす」といった次に行うべき効果的なアクションを検討できるでしょう。また、市場動向の変化についても細かく記すことで、中長期的な営業戦略の見直しや策定に役立つ情報を提供できます。
フォーマットを統一する
営業日報を作成するフォーマットは統一しましょう。記入すべき項目を整理して日報用テンプレートを用意し、書き方の見本となる記入例およびガイドラインも作ります。営業担当者によって報告する項目が異なる場合、内容の比較が困難になります。データの集計や分析にも時間がかかるうえ、営業日報が形骸化する一因となるでしょう。記載項目が統一されていれば部下は記入しやすくなり、上司にとっても内容を確認しやすくなります。すばやくフィードバックをもらえるため、日報作成のモチベーション向上にもつながります。
データをもとにフィードバックする
営業日報のフィードバックは経験や知見による内容だけでなく、時にはデータにもとづいたコメントも伝えましょう。営業日報にはアポ獲得数や成約率、活動時間などの各種データが蓄積されるため、各メンバーの行動を照らし合わせることで改善点を発見しやすくなります。たとえば「商談数は多いのに受注につながらない」「チーム平均と比べて資料作成に時間をかけすぎている」と営業担当者ごとの傾向がわかれば、改善に向けた的確なアクションをアドバイスできます。
顧客情報と紐づける
営業日報は、顧客情報と紐づけて管理しましょう。顧客への対応履歴や購買行動、顧客ごとのニーズ・課題を把握できるため、商談相手への理解を深められます。次回以降のアプローチに応用できるうえ、顧客との信頼関係の構築にも役立ちます。また、顧客情報の管理はSFAやCRMが得意としているため、こうしたシステムで日報を作成すればデータの一元管理が可能です。システム上で日報を保管することで、営業だけでなくマーケティング等の他部署とも情報を共有できます。
営業日報を提出された際にやるべきこと

マネージャーや管理職は自身でも営業日報を書くうえ、部下から提出された日報の確認も必要です。ただ読むだけでなく、メンバーを成長させるためのフィードバックやコミュニケーションが求められます。営業日報を提出された際は、以下5つの行動を実践しましょう。
ポジティブなフィードバックを行う
部下へフィードバックする際は、できる限りポジティブな表現を選びましょう。営業活動は成果を出すまでに多くの失敗を経験するものであるため、メンバーは日々プレッシャーにさらされています。営業日報の中で部下の良い点を見つけ、「訪問件数が安定しているね」「具体的な行動目標があって素晴らしい」と本人の努力や実績を肯定することでモチベーションを高められます。課題を伝える場合でもまずは褒めるべきポイントを伝えて、その後に改善策をフィードバックしましょう。
双方向のコミュニケーションを心がける
フィードバックを行う際は、双方向のコミュニケーションを意識しましょう。一方的に意見を押し付けるのではなく、部下からの意見を受け入れる必要があります。フィードバックに対して部下が疑問を抱いている様子であれば、意図や論理的な理由を丁寧に説明しましょう。また、時には「この提案はどんな意図があった?」と部下の考えを引き出すことも重要です。相手に問いかけることで、営業メンバー全体の自己分析力や論理的思考力を強化できます。
気になるポイントがあれば本人に質問する
営業日報の中で気になるポイントがあれば、本人に質問して確認しましょう。テキストだけでは、営業現場で何が起きていたのかを読み取れない情報もあります。たとえば「顧客が慎重になっている」との記載があった場合、相手の反応や背景は文章だけでは掴みきれません。対面で本人に直接確認して細かな状況を聞き取り、必要に応じてサポートやアドバイスを行いましょう。部下自身も客観的に状況を整理できることから、次にとるべき行動の方向性を固められます。
進捗状況を確認する
営業日報は1日ごとだけでなく、週次や月次単位で部下の進捗状況を確認しましょう。短期的な活動だけでは見えにくいポイントも、一定期間でまとめて振り返ることで変化を把握できます。複数の日報を照らし合わせれば、業務への時間配分や案件の進捗状況、業務の優先順位といった部下ごとの情報分析が可能です。さらに、日報に記載してあるアクションを実行できていない場合、どのように行動すべきかを指導しましょう。案件の障壁になっている
部分やサポートの必要性を質問することで、課題を可視化したうえで次の行動へとスムーズに進められます。
営業戦略の見直しに活用する
営業日報は個人の管理だけでなく、営業戦略を見直す際にも活用できます。四半期や半期などの中長期にわたる日報データを分析すれば、営業活動の季節性や年間の特性を把握できるでしょう。たとえば、年間を通じたターゲット層の動きや提案が成功しやすいタイミング、特定の商材の問い合わせが増える時期など、さまざまなパターンを掴めます。中長期的な業界の傾向を明らかにすることで、営業戦略の効果的なアップデートが可能になるでしょう。
営業日報の効果を高めてスキルアップ!
営業日報とは、1日の営業活動を振り返って情報を共有するための資料です。営業日報の作成によって担当者は自身の行動を分析できるほか、上司は営業チームの進捗を効率的に確認できます。営業日報を効果的に運用するためには、共通のフォーマットを用意して外出先でも入力しやすいツールを導入すると良いでしょう。日報には営業の重要なデータが蓄積されるため、データベースとして活用することで営業チーム全体のスキルアップが見込めます。
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この記事の監修者
荒川 翔貴
学生時代に100名規模の営業団体を設立後、大手メーカーで新人賞、売上4,000%増を達成。その後人材業界に転身し、ベンチャー企業にて求職者・企業双方を支援。プレイヤーとして社内売上ギネスを塗り替えながら、3年で事業部長に昇進し組織マネジメントも経験する。
現在は株式会社9Eのキャリアアドバイザーチームリーダーとして、入社半年で再び社内ギネスを更新するなど、常に成果を追求し続けている。(▶︎詳しく見る)

